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血管造影室(アンギオ室)とは?看護師の役割は?INEが徹底解説

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  • 血管造影室って何をしているの?
  • 血管造影室の看護師ってどんな役割をしてるの?
  • 血管造影室だと取れる資格がある?

こんなお悩みを解決できる記事になっています。

とーふ

編集者は血管造影室での勤務経験があり、血管造影の治療における知識や看護を評価してもらった元インターベンションエキスパートナース(INE)です。
ほかでは見られない血管造影室や看護師の姿を詳しく解説していきます。

血管造影室の看護師の役割

この記事を読めば血管造影室で実施されている検査や治療、看護師の役割、将来的に取得可能な資格がわかり、血管造影室への転職を判断できるようになります。

記事の前半では看護師の役割や1日のスケジュール、年収などを紹介し、後半では向いている看護師や取得可能な資格について具体的に解説しています。

記事に飛べる「目次」

血管造影室で何をしているの?

血管造影室って何をやっているのかな?

血管造影室はカテーテルを使って選択的に血管を造影して診断したり、治療をおこなったりする場所です。

馴染みのない方もいるでしょうから、まず血管造影室(アンギオ室)について説明します。

1つずつ説明していきます。

血管造影とは?

血管造影室とは

血管造影は血管の走行や形態などをX線で撮影する検査です。

英語が「Angiography」であるため、「アンギオ」と略して呼ばれることもあります。

その名の通り血管を造影する検査なのですが、通常の血管はX線では映し出せません。

そこで血管用の細いカテーテルを鼠径部や手首から挿入して、目的の場所に造影剤を流して撮影します。

血管造影の種類

血管造影は全身行えますが部位によって種類があります。

部位によって担当する診療科および医師が違っていることがほとんどです。

スクロールできます
検査名対象疾患内容
脳血管造影検査脳出血、脳梗塞、脳動脈瘤、脳動静脈奇形、内頸動脈狭窄症など ・頭部〜頸部の造影を行い、血管の狭窄や動脈瘤、異常血管の発達などを診断します。
気管支血管造影 気管支出血など ・気管支動脈の出血部位を確認します。
腹部血管造影検査 肝臓がん、消化管出血など ・腹部の臓器につながる血管を造影して、血管の走行、血管の形状、血流、出血の有無などを調べます。
四肢血管造影検査 閉塞性動脈硬化症、骨軟部腫瘍、シャント狭窄など ・血管の狭窄・閉塞状況の確認や腫瘍の存在や形状などを確認します。
心臓カテーテル検査 狭心症、心筋梗塞、心不全、弁膜症、先天性心疾患など 心臓のみ、血管造影とは違い心臓カテーテル検査と表され「心カテ」と略されています。
・施設によっては心臓カテーテル検査とその他の血管造影検査で検査室が分かれていたり、担当する部署が違っていたりすることがあります。
・心カテでは血管の狭窄具合や心臓の動き、病気の種類、重症度などを調べることができます。

血管造影における治療

血管造影は検査をするだけではありません。

ここでは血管造影を元にした治療について説明をします。

血管造影の治療に関して「IVR」との言葉を聞いたことがありますか?

IVRは「Interventional Radiology」インターベンショナルラジオロジーの略で、画像下治療を意味します。

X線装置やCTの画像を元に治療を行うもので、血管系と非血管系に分かれており血管造影における治療はまさに血管系IVRです。

どんな治療があるのか部位別に具体例を記載します。

部位治療名
頭頸部・脳動脈瘤コイル塞栓術
・頸動脈ステント留置術
・血栓除去術
・頭頸部腫瘍への動注化学療法
気管支 ・気管支動脈塞栓術
腹部・肝動脈化学塞栓術
・肝動注リザーバー留置術
・バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術
・膀胱がんや子宮がんへの動注化学療法
・産科出血塞栓術
・下大静脈フィルター留置術
四肢 ・血管拡張術
心臓 ・冠動脈形成術
・アブレーション
・ペースメーカー埋め込み術

血管造影の手順

それでは、血管造影室に入室してからの手順・流れを説明します。

血管造影 流れ

①患者入室

②検査台に臥床、前貼り、末梢動脈触知確認

③バイタルサイン測定開始

④穿刺部を消毒して、体全体に清潔シーツを掛ける

⑤穿刺してシース、カテーテルを挿入

⑥造影・治療実施

⑦カテーテル、シースを抜去し圧迫止血、枕子固定 末梢動脈触知確認

⑧ストレッチャーで退室

物品紹介

シース

・穿刺後に血管内に留置する短めの管
・ここからカテーテルを出し入れする
・検査終了までずっと入っている

カテーテル

血管内に入れる細い管
・造影部位近くまで挿入して造影剤を流す

ガイドワイヤー

・カテーテルを目的の血管まで誘導する

血管造影室で働く職種

血管造影室では色々な職種の人達が働いています。

医師と看護師だけでは成り立たないので、色々な職種が一つのチームとなって検査・治療をサポートします。

  • 医師 
  • 看護師 
  • 診療放射線技師 
  • 臨床工学技士 
  • 臨床検査技師  

    *施設により異なる

IVRになると治療用のカテーテルや塞栓用コイルなど、普段血管造影室には常備していないものを業者が持参し操作室で待機しています。

とーふ

業者も1社だけではなく、複数社のこともよくありますよ。
操作室が人でいっぱいになることも…

血管造影室の仕事内容

ここでは血管造影室の看護師の仕事内容を説明します。

血管造影の手順を踏まえてみるとわかりやく、仕事内容のイメージが湧きやすいです。

血管造影室の看護師の仕事内容

それぞれ詳しく見ていきましょう。

検査前

まずは検査前の仕事内容について説明します。

きちんと準備することで患者も安心して検査に臨め、検査自体もスムーズに進みます。

対象具体的内容
物品・薬品・カテーテル、シース、ガイドワイヤーなど準備
・ヘパリン生食の準備
・キシロカイン準備
・検査台上のシーツやバスタオル準備
・検査台保温
患者・入室後検査台で仰臥位
・病棟看護師からの申し送りを聞く
・血圧、心電図、SpO2測定
・末梢動脈触知確認
・輸液刺入部の確認
・前貼り
・検査中についてのオリエンテーション
医師・穿刺部の消毒介助
・滅菌ガウン着用介助
・滅菌シーツ使用介助
・物品や薬品を清潔操作で出す(渡す)

患者が入室すると、医師、看護師、診療放射線技師などで一斉に患者の準備を行うので、あっという間に検査開始となります。

患者とのコミュニケーションや検査中についてのオリエンテーションの実施なども、短い時間に行わないといけません。

検査中

検査中は主に患者と医師に対してサポートを行います。  

対象具体的内容
患者・タイミングを見て必要に応じて声かけ
・定期的にバイタルサイン測定
・症状の観察
医師・指示にてヘパリンなどの薬品を投与
・物品や薬品を清潔操作で渡す
・患者の状態変化時に報告
とーふ

患者への声かけは「検査の支障にならないように」
タイミングが大事!

検査後

造影検査が終わった後は、医師がシースを抜いて止血作業です。

止血中も患者の状態が変化する可能性があるため、常に気を配っておく必要があります。  

対象具体的内容
患者・バイタルサイン測定
・症状観察
・ストレッチャーへ移乗介助
・病棟看護師へ申し送りをする
医師・シース抜去後の止血時間測定
・止血後枕子固定
・末梢動脈触知確認
・検査後の指示確認
物品・薬品・検査台の清掃、シーツ交換
・使用物品の片付け
・床の血液や造影剤を拭き取り
・物品、薬品を請求する

止血をしている間にも次の患者が入室して準備を開始する場合がありますが、そんな時も止血中の患者のことを意識しておかないといけません。

記録

記録も必ず残します。

血管造影中に看護をした証拠でもあり、病棟への継続看護の資料にもなります。

記載内容
  • バイタルサインの経過
  • 症状の経過
  • 実施した看護
  • 末梢動脈触知の有無
  • 穿刺部位
  • 穿刺した時刻
  • シースの大きさ
  • バルーン拡張の時間(秒)
  • ステント留置部位
  • 使用薬剤の時刻と量
  • シース抜去の時刻
  • 止血に要した時間
  • 血腫形成の有無   など

記録を使用しながら病棟へ申し送りをすることもあります。

テンプレート(型)があり漏れなく記載できるようになっている施設もあるようです。

血管造影室の看護師の役割3選

血管造影室では多くの職種が働いています。

そんな環境で看護師だからできる役割とは何でしょうか?

ここでは血管造影室の看護師の役割について説明していきます。

血管造影室の看護師の役割

それぞれ解説します。

1.患者の苦痛を和らげる

役割の1つ目は患者の苦痛を和らげることです。

血管造影では苦痛に感じることが多くあります。

ある研究では、69.2%もの患者が苦痛を感じていました。1)

対象具体的内容
身体的苦痛・穿刺部痛 
・撮影時の体熱感 
・同一体位による苦痛 
・嘔気 
・血管造影室の寒さ など
精神的苦痛・血管造影に対する未知の恐怖 
・診断に対する不安 
・肌の露出に対する羞恥心 など

両方に共通できる対応には

  • 励ましの声かけ
  • 苦痛を確認する声かけ
  • 看護師が近くにいることのアピール

が重要で、これらを行うことで患者が訴えやすい状況を作ったり看護師の存在で不安を軽減させたりすることができます。

血管造影室はX線装置が故障しないように室温を上げることができない上に、穿刺部が鼠蹊部だと広範囲に肌を露出するので保温も大事です。

寒さや羞恥心対策、リラックス効果も兼ねて患者の体を上からも下からも保温しています。

このように身体的、精神的な苦痛を軽減して検査が無事に終了するよう患者に寄り添うのが看護師の役割です。

1)長沼みづきほか:血管造影室の看護師に患者がもとめているもの,Yamanashi Nursing Journal ,6 (1 ),23-26,2007

2.患者の観察

2つ目の看護師の役割は、患者の観察です。

血管造影では偶発症を引き起こすリスクが潜んでいます。

  • ガイドワイヤー操作に伴う血管穿孔や血管内膜剥離
  • 局所麻酔薬や造影剤のアレルギー
  • 血栓形成による塞栓症 など

看護師は

  • 血圧(2.5〜5分おき)
  • 心電図や心拍数
  • SpO2値
  • 症状の有無

などを密に観察していきます。

医師は手技に集中していますので、看護師がしっかり患者を観察する必要があるのです。

3.医師の介助

血管造影 医師の介助

3つ目の看護師の役割は医師の介助です。

検査中に追加で物品が必要になったり、指示で薬品を投与したりすることがあるからです。

必要なカテーテルやガイドワイヤーなどをテキパキと清潔操作で渡していきます。

血管造影の目的部位によって使用するカテーテルやガイドワイヤーは違うことを理解し、室内のどこに配置しているのか把握していないとすぐに取り出すことはできません。

薬品は清潔操作で医師に渡すこともあれば、輸液の側管から投与することもあります。

頭頸部の治療ではヘパリンを側管から投与し、投与から1時間おきに医師へ声かけして追加するのか指示を受けます。

この際に、指標となるACT(活性化凝固時間)測定をするのも看護師です。

血管造影室の1日のスケジュール

それでは1日のスケジュール見てみましょう。

どのような感じで血管造影室の1日が過ぎていくのかイメージしてみてください。

例)総合病院の血管造影室(心臓カテーテル検査は別室)

始業
物品や薬品の準備

医師、放射線技師とミーティング

1例目の患者が入室し検査開始 
午前中は脳血管造影検査が1例、頸動脈ステント留置術が1例の予定

午前中の症例終了 
休憩

午後1例目の患者が入室 
午後は肝動脈化学塞栓術1例、肝動注リザーバー留置術1例の予定

本日の症例が終了し片付け

業務終了

他の看護師と交代して休憩に入ることもあります。

脳出血や脳梗塞、肝破裂などの緊急症例が入り込むこともあります。

緊急症例が入ると残業になることが多いです。

血管造影室の看護師の年収

血管造影室で働く看護師の年収・給与をご紹介します。

仕事内容や看護師の役割だけでなく金銭面も気になるところです。

とーふ

転職をするにしても重要なポイントですよね。

血管造影室専属の施設もあれば、他の部署と兼務の場合もあるので条件で分けてみました。

*複数の転職サイトの求人情報より算出(2024年3月現在)

それぞれ見ていきましょう。

血管造影室のみ

血管造影室のみで勤務している看護師の年収は 平均412万円(366〜472万円)です。

毎月の給与にすると平均26.8万円 でした。

血管造影室のみで勤務する看護師は、夜勤やオンコールがあるため手当がつきます。

手術室と兼務

一番求人が多いのは手術室と兼務するパターンです。

平均年収は404万円(345〜465万円)

毎月の給与は平均25.3万円でした。

手術室なのでオンコールがある施設も多いでしょうが、求人情報には血管造影でのオンコールは記載されていませんでした。

夜勤がある施設もあります。

外来や内視鏡室などと兼務

手術室に次いで多いのが、外来や内視鏡室などと兼務するパターンです。

平均年収は393万円(311〜416万円)

毎月の給与は平均25.4万円でした。

日勤のみであることが多い傾向にあります。

外来といっても救急外来の場合は夜勤をする施設もあり手当がつきます。

血管造影室で働くメリット3選

血管造影室で働くメリットをご紹介します。

メリットがわかると血管造影室で働きたくなること間違いなしです。

ぜひ参考にしてくださいね。

それぞれ解説します。

1.専門的な知識や技術を習得できる

血管造影室で働くと、専門的な知識や技術を習得できます。

これは血管造影室でしか習得できません。

カテーテルやガイドワイヤーなどの物品

血管造影に使用する物品を覚える必要があります。

医師から指示された時にすぐに取り出せるようにです。

カテーテルやガイドワイヤー、シースなど血管造影に使用する物品はたくさんあります。

使用する血管によってカテーテルの長さや細さ、先端の形状が違います。

どの部位にどの物品を使用するのか覚えておくと事前に準備もできる上、急に言われてもすぐに対応することができ検査の時間を長引かせません。

放射線・造影剤

血管造影では必ず放射線と造影剤を使用します。

必然的に放射線から患者や自分を守るための行動をするようになります。

造影剤の種類やアレルギーの対応にも自然と詳しくなりますよ。

他の部署では意識することのない行動、接することのない造影剤について知識を深められるのが血管造影室です。

血管の走行、状態

血管の走行や状態など解剖の知識がつきます。

血管造影室では常に血管の画像を目にすることになるので

  • 造影した部位がどこの血管なのか
  • 血管名
  • 血管の正常異常
  • 臓器を栄養する血管 など

に詳しくなります。

血管の解剖の本なども常備しているので常に勉強できます。

血管造影における看護

血管造影における看護の知識・技術がつきます。

  • 局所麻酔で意識がある中、同一体位で検査を受けなければならない
  • 穿刺による痛みや造影剤使用による体熱感などの苦痛がある

このような患者の不安や苦痛を軽減できるように働きかける看護を身につけられます。

2.疾患への理解が深まる

血管造影に関連する疾患への理解が深まります。

画像で実際に病変部の状況を確認することができるためです。

さらに治療の実際も知ることができるため、治療後の看護にも役立てられるでしょう。

施設によってはICUと兼務しているところもあるので、血管造影室で担当した患者を病棟で看護する場合もあります。

血管の状態や治療の実際を理解でき今後の看護に役立てられるなんて、他の検査ではあまり見かけません。

血管造影室で働く大きなメリットと言えるでしょう。

3.他職種とのコミュニケーション力がつく

他職種とのコミュニケーション力がつきます。

血管造影室では

  • 医師(診療科ごとに違う)
  • 看護師
  • 診療放射線技師
  • 臨床工学技士 など

多くの職種が存在し、時には物品の業者も加わってチームとなって働いています

検査や治療の開始時間を決めるにも、皆のスケジュールを確認してから決定しますが看護師が調整役となることもよくあります。

職種は同じですが、病棟との連携も必要です。

円滑な血管造影室運用のため、他職種連携ができるようなコミュニケーション力がつきます。

血管造影室で働くデメリット3選

血管造影室で働くメリットをご紹介しましたが、反対にデメリットも存在します。

デメリットもしっかり把握した上で、転職の検討をしてください。

血管造影室で働くデメリット

それぞれ解説します。

1.被曝する可能性

血管造影室で働くと被爆する可能性があります。

放射線を使用する検査だからです。

室内に入る時は

プロテクター
  • エプロン・コート(プロテクター)
  • メガネ
  • ネックガード

などの放射線防護具を使用しなければなりません。

しかし、どれも100%放射線を防護できるものではないのです。

放射線装置からの距離をとり、装置から近い場所にいる時にはできるだけ時間を短くする必要があります。

放射線の被曝を測定する線量計(フィルムバッジ/ガラスバッジ)を常に身に付けます。

装着場所被曝測定部位
プロテクターの内側・女性は腹部
・男性は胸部
・水晶体は防護メガネの内側
プロテクターの外側・頭頸部(襟など)

毎月の被曝量は各個人に通知され、被曝していた場合に危険手当が支給されます。

このように放射線を扱う職場で働いている人は、「特殊健康診断」を6ヶ月毎に受けなければなりません。 1)

職場で実施されるため、特殊健康診断を受け忘れることはないので安心してください。

血管造影室で働くと被曝する可能性があるので、妊娠の可能性がある方は控えた方がいいですね。

1)医療スタッフの放射線安全に係るガイドライン

2.緊張感が続く

血管造影の検査中は常に緊張感があります。

多くの偶発症が起こるリスクがあるからです。

さらに、医師が欲することをタイミングよくキャッチして行動できるようにアンテナを張っている必要があります。

すべて、患者が安全に少しでも苦痛の時間を短くして検査を終えることにつながります。

患者の状態を把握し医師の方にも気を配るため緊張感を常に持って業務に就かなければなりません。

3.長時間の立ち仕事

血管造影室では長時間の立ち仕事が基本です。

先ほども説明したように常に患者の観察を行いながら、医師の介助もすぐにできるようにしています。

そのためには、放射線に気をつけながら患者の近くにいることもあれば、医師にすぐ対応できる場所にもいます。

記録をするために電子カルテの前に座ってばかりはいられないのです。

重たい放射線防護のプロテクターを着用した上での長時間の立ち仕事は疲労感が違います。

血管造影室に向いている看護師3選

血管造影室のメリット・デメリットを解説してきたので、どのような看護師が向いているのかなんとなくわかってきたのではないでしょうか。

ここでは、血管造影室に向いている看護師を紹介していきます。

それぞれ解説します。

1.臨機応変な対応ができる看護師

血管造影室には臨機応変な対応ができる看護師が向いています。

患者の状態変化時には、他職種と連嶺しながらさまざまなことを優先順位を考えて実施しなければなりません。

医師の方が人数が多いので、同時にアレコレ指示が出る場合もあります。

そんな時こそ臨機応変に落ち着いて対応していけるスキルが必要です。

2.コミュニケーション能力が高い看護師

コミュニケーション能力が高い看護師が血管造影室に向いています。

血管造影室では、患者とのコミュニケーションや他職種との連携に特徴があります。

患者

患者とのコミュニケーションは、タイミングをみて短い時間でどれだけ有効な声かけができるのかにかかってきます。

血管造影室ではガイドワイヤーやカテーテルの細かい操作を行い、X線も使用します。

ですので、いつでも患者に声をかけることができません。

とーふ

初めのころ、脳血管造影検査中にタイミングも考えずに患者へ声をかけたところ…
「話しかけるな! 」
と怒られたことがありました。
怒られてからは、タイミングを考えて要所要所で声をかけていくようにしました。

放射線が出ていない時は患者のそばまで近づき、必要ならばタッチングを行いながら声かけをしていきます。

他職種

複数の診療科の医師や診療放射線技師など、他職種との連携が必要です。

血管造影室の運用が円滑に行われ、検査がスムーズに終えられるようにするためです。

全ては患者に返っていくので日頃からコミュニケーションをとっていきます。

3.専門性を高めたい看護師

血管造影分野の専門性を高めたい看護師におすすめです。

血管造影室でしか習得できない知識や技術、看護があります。

  • カテーテルやガイドワイヤー等の物品
  • 放射線・造影剤
  • 血管の走行、状態
  • 血管造影における看護

これらの専門的な知識や技術を習得すれば転職でもアピールでき、病棟へ異動になった際は血管造影前後の看護に役立てることができます。

病棟では自分だけでなく、後輩や同僚にも伝達していけますね。

そして「血管造影・血管内治療中の介助」は、2024年4月から施行される医師のタスク・シフト/シェアの具体策として看護師が実施可能とされています。1)

業務内容
  • 血管内治療の介助、助手
  • シース抜去後の圧迫止血、止血確認、圧迫解除

これらの業務に携わるようになると、さらに血管造影室で働く看護師の専門性が高まりますね。

1)厚生労働省:現行制度上実施可能な業務の推進について

未経験でも血管造影室の看護師の役割をこなせる?

とっても興味が湧いてきたな
でも、未経験だと難しいかな?

とーふ

大丈夫ですよ

未経験でも血管造影室の看護師の役割をこなすことができます。

専門的なことが多いので、初めは教育担当者がついて教えてくれますよ。

しかし、転職の際は教育体制がどのようになっているか確認しておいた方がいいでしょう。

  • 教育担当者がつく
  • マニュアルがある
  • 技術チェックリストがある
  • 段階的に習得できるスケジュールがある

施設によって違いがあるので、ご自身でも対応できそうな教育体制の職場を選ぶといいですね。

未経験者が血管造影室の仕事習得にかかる期間

未経験でも大丈夫なことはわかったけど、どのくらいでやっていけそうかな?

毎日4〜5例の造影検査につく場合、1週間もあれば基本的なことは一人でできるようになります。

造影する部位が違ったり治療内容が違ったりすると、複数回は教育担当者と一緒に実施していけば大丈夫です。

毎日同じ部位ばかりではなく症例数も違ってくるので、習得までの期間は施設や個人により変動があるでしょう。

血管造影室で働くと取得できる資格

専門性の高い血管造影室での看護師の役割や仕事内容ですが、将来的に取得できる資格が

インターベンションエキスパートナース(INE)  です。

血管造影における治療の知識やそれに伴う看護を評価されます。

インターベンションエキスパートナース(INE)

インターベンションエキスパートナース(INE)とは、インターベンショナルラジオロジー学会(IVR学会)と日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)が合同で認定している制度です。

初期はIVR学会のみの制度でしたが、途中からCVITも加わりました。

*2024年実施分の試験について

受験資格

1)看護師免許を有すること。(正看護師,准看護師は問わない)

2)看護師としての実務経験を 2023年 12 月 10 日の時点で満 3 年以上有すること。

3)看護経験:IVR専門医またはCVIT専門医の下で100 例以上の看護経験を有すること。

(中略)

4)下記の必須講習会に 2 年間で 1 回以上受講していること。
 インターベンションエキスパートナース講習会

引用元:インターベンションエキスパートナース
とーふ

編集者は心カテの経験はない状態で、IVR学会主催の第1回IVR認定看護師になりました。

INEの資格取得を目指して業務や勉強に励めますね。

血管造影室看護師の役割で働ける職場

働くならどんな職場に転職したらいい?

血管造影室の看護師になるなら病院とクリニックの2つになります。

血管造影の設備を持っている施設は全国の医療機関でも約1.56%しかありません。1)

病院の方が多くて22.2%、一般診療所となると0.1%です。

血管造影室看護師の役割で働ける職場

詳しくみていきましょう。

1)厚生労働省:令和2(2020)年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況

1.病院

病院に転職すると血管造影室看護師の役割で働くことができます。

  • 総合病院
  • 大学病院
  • 循環器専門病院
  • 脳神経外科専門病院

を選びましょう。

病院では

  • 血管造影室専属
  • 手術室と兼務
  • 外来や他の検査室と兼務
  • ICUと兼務 

など色々な部署への配属となります。

兼務する職場に入った場合、血管造影だけでなく他の業務もこなさないといけない点はデメリットですね。

純粋に血管造影だけをこなしたい方は、血管造影室専属の求人を探しましょう。

あと病棟以外は夜勤なし(日勤のみ)の求人が多いです。

2.クリニック

心臓血管専門、透析専門の入院施設のあるクリニックだと、血管造影室看護師の役割で働けます。

クリニックの診療科検査・治療の内容
心臓血管心臓カテーテル検査/治療
透析透析用シャントの検査/治療

クリニックでは手術室兼務が多いのと、特定の疾患や治療に限定されるのが特徴です。

血管造影室へ転職するのにおすすめの転職サイト3選

血管造影室の求人を探すのにおすすめの転職サイトを紹介します。

血管造影の設備を持っている施設は全国の医療機関でも約1.56%1)しかないので、公開求人数も少ない傾向にあります。

ご紹介する転職サイトでは、「血管造影室」「アンギオ」「カテ室」をフリーワード入力して検索できますが、転職サイトのアドバイザーに相談して探してもらう方が効率的です。

転職サイトの特徴を見ていきましょう。

1)厚生労働省:令和2(2020)年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況

1.マイナビ看護師 |血管造影に関する公開求人が最多

マイナビ看護師

(引用元:マイナビ看護師公式サイト)

マイナビ看護師の基本情報
運営会社株式会社マイナビ
公開求人数約69,000件
対応地域全国
拠点17ヶ所
銀座 新宿 大阪 札幌 名古屋 仙台 横浜 さいたま 群馬 静岡 新潟 京都 神戸 岡山 広島 福岡 鹿児島
(2024年9月現在)

対面での面談を重視しています。

顔が見えるのでキャリアアドバイザーとの信頼関係も築きやすいです。

2.看護師ワーカー(旧:医療ワーカー) |カテ室で検索しやすい

看護師ワーカー(旧:医療ワーカー)

(引用:看護師ワーカー公式サイト)

看護師ワーカーの基本情報
運営会社株式会社トライトキャリア
公開求人数約64,000件
対応地域全国
拠点40ヶ所 
札幌 札幌第二 盛岡 仙台 仙台第二 郡山 水戸 宇都宮 高崎 大宮 大宮第二 船橋 船橋第二 東京本社 東京第二 横浜 横浜第二 新潟 新潟第二 富山 金沢 静岡 静岡第二 名古屋 京都 大阪 大阪第二 神戸 神戸第二 奈良 岡山 広島 高松 ICT BPOセンター(高松) 福岡 福岡第二 長崎 熊本 鹿児島 沖縄
(2024年9月現在)

年間の転職成功者が10,000人の実績があり、利用者からの信頼も厚いです。 1)

1)https://tryt-worker.jp/iryou/

3.ナースではたらこ|血管造影室の求人が多め

ナースではたらこ

(引用元:ナースではたらこ公式サイト)

ナースではたらこの基本情報
運営会社ディップ株式会社
公開求人数約95,000件
対応地域全国
拠点36ヶ所 
東京本社 札幌 仙台 新宿 新宿第2 新橋 北千住 デジレバ(道玄坂) 渋谷 池袋 立川 町田 川崎 横浜 湘南 千葉 船橋 柏 つくば 宇都宮 大宮 熊谷 高崎 静岡 名古屋 豊橋 金山 岐阜 大阪 京橋 難波 京都 神戸 広島 福岡 小倉

ナース・キャリア・ステーション
5ヶ所
東京本社(六本木) 大宮 名古屋 大阪 福岡
(2024年9月現在)

看護師対応満足度1)やオリコン顧客満足度調査2)で1位を獲得している転職サイトです。

1)https://www.dip-net.co.jp/service/nurse

2)https://career.oricon.co.jp/rank_shoukai/nurse/2022/

まとめ

血管造影室の看護師の役割を紹介しました。

血管造影室でしか習得することのできない専門性の高い仕事内容をこなしていきます。

2024年4月に施行される医師のタスク・シフト/シェアの具体策として、「血管造影・血管内治療の介助」は看護師が業務可能と打ち出されていますので、今後はさらに専門性が高い職場になるでしょう。

血管造影における治療の知識や看護が優れていると評価される資格に

「インターベンションエキスパートナース(INE)」

があり、目標を持って業務や勉強に励むことができます。

キャリアアップを望まれるなら、血管造影室への転職を検討するのもいいかもしれませんね。

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この記事を書いた人

内視鏡技師歴18年。
高校を卒業後不動産会社に就職したが、事務仕事が合わず3ヶ月で退職。輸入雑貨店で販売を経験したのち看護学校へ入学。卒業後は整形外科・小児科病棟へ配置。出産を機に内視鏡/血管造影/放射線治療に携わる。以後、NICU、消化器内科、耳鼻科、歯科口腔外科、透析も混合病棟や併科担当で短期間ずつ経験。現在は内視鏡専門となり、SNS運用やライター業もこなしている。
今をどうにかしたい看護師へ「自分に合った環境で幸せな働き方を見つける」お手伝いがしたいと思い、当サイト「Fine」を開設。

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