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【転職したい人必見】消化器内科看護師のやりがいや仕事内容を解説

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  • 消化器内科はほかの診療科と比べて忙しさや負担はどうなの?
  • 消化器内科で働くと、どんなやりがいや達成感を感じる?
  • 消化器内科の看護師に求められるスキルは?

このような悩みを解決できる記事になっています。

消化器疾患を抱える患者は多く、令和2(2020)年の厚生労働省の調査1)では、外来患者 713万人のうち最多の約18%が消化器系の疾患を抱える患者でした(図1)。

消化器内科患者数

図1. 傷病分類別にみた施設の種類別推計患者数(厚生労働省令和2年)より作成

病院やクリニックなどさまざまな医療機関で、消化器疾患の患者と関わる機会があります。

看護師も消化器内科の看護師としてさまざまな職場で働いています。

とーふ

編集者も消化器内科病棟で約1年半勤務しましたので、経験も混ぜながら解説していきます。

この記事を読めば消化器内科で働く看護師のやりがいや仕事内容がわかり、消化器内科への転職を判断できるようになります。

記事の前半では消化器内科の疾患・検査の特徴や看護師の仕事内容、向いている人などを紹介し、後半では消化器内科病棟の特徴や役立つ資格などについて解説しています。

とーふ自己PR

1)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/dl/suikeikanjya.pdf#page=3

記事に飛べる「目次」

消化器内科とは

消化器内科は消化器系の臓器を、内科的に診療する診療科です。

消化器系とは消化と吸収をおこなう器官を指し、口から肛門まで続く消化管と、付属する器官によって構成されます。

大分類小分類
消化管食道

十二指腸
小腸
大腸
直腸
肛門
付属器官肝臓
胆嚢
膵臓

対象臓器が多い上に、それぞれの疾患および検査に対応する必要があるため、専門的な知識が幅広く求められるのが特徴です。

逆に言うと、消化器内科で勤務すれば専門的な知識を幅広く身につけられます。

ここでは、消化器内科について下記の項目からも説明していきます。

順に見ていきましょう。

内科との違い

内科との違いがよくわからないから教えて!

消化器内科と一般内科の主な違いは、専門性の深さと診療範囲の広さです。

内科では

  • 風邪
  • インフルエンザ
  • 発熱
  • 頭痛

など、日常的に見られる症状や病気の診療が中心です。

一方、消化器内科は食道、胃、腸などの消化器系疾患に特化しており

  • 内視鏡検査
  • 内視鏡を用いた治療
  • 血管造影による治療
  • 抗がん剤治療

などの専門的な診療・治療が可能です。

消化器内科では以前は開腹手術が必要であった疾患も、早期の段階であれば開腹手術をおこなわずに患部を除去したり縮小させたりできます。

このような治療法は、メスを使った外科手術と比べて患者の負担が少ないため、体への影響を最小限に抑えられます。

日常的に見られる疾患を主に扱う内科に比べ、消化器内科は消化器系の疾患に対して、より専門的な診断と治療を提供する診療科です。

患者の特徴・疾患

消化器内科で診療の対象となる疾患は、消化器系の臓器に関連したものです。

医療機関や医師の専門分野により、消化器系の一部の臓器である場合もありますが、多くの臓器を含む消化器系のあらゆる疾患に対応しています。

部位主な疾患
食道胃潰瘍
ピロリ菌感染
胃がん
十二指腸十二指腸潰瘍
小腸小腸腫瘍
大腸潰瘍性大腸炎
クローン病
大腸がん
大腸ポリープ
肝臓B型肝炎
C型肝炎
肝硬変
肝臓がん
胆道系胆管結石
胆管がん
膵臓膵炎
膵がん

これらは一部です。

このほか消化管出血や腸閉塞、感染性胃腸炎なども当てはまり、消化器系の臓器に対応した診療をおこなっています。

よくある検査

消化器内科でおこなわれる検査は、血液検査や腹部超音波検査、内視鏡検査などです。

消化器系の臓器に異常があっても症状もなく、外見からは分からない場合があります。

そこで体の内側からも外側からもアプローチして、臓器の状態を把握する必要があります。

消化器内科でよくおこなわれる検査は下記をご覧ください。

消化器内科の検査
  • 血液検査
  • 腹部超音波検査
  • 腹部単純X線検査
  • 内視鏡検査
  • CT
  • MR
  • X線造影検査  
  • 肝生検  など

患者さんと接する中で得られる症状だけではなく、各消化器系の臓器の機能を示すデータや画像の読み取る能力が欠かせません。

まずは先輩ナースのやり方をマネして、消化器内科でよくある検査の読み取りスキルを鍛えていきましょう。

とーふ

電子カルテでは、1画面で検査結果や記録などが見られるようなマルチ画面に設定していました。

よくある治療

消化器内科でよこなわれる治療は絶食、薬物療法、内視鏡治療が多い傾向です。

下記がよくおこなわれる治療の内容です。

消化器内科の治療
  • 絶食
  • 輸液
  • 内服薬
  • 内視鏡
  • 血管造影
  • 抗がん剤
  • 血漿交換 など

抗がん剤治療やイレウスの保存的治療など、一部の治療はどちらの科でも実施されるかもしれません。

例えば抗がん剤でみていくと、

術前であれば…

  • もともと消化器内科の患者だと、そのまま抗がん剤治療をおこない、がんが縮小してから術前に消化器外科へ転科する。
  • 術後の再発予防や再発に対して、消化器外科で抗がん剤治療をする。

医療機関の診療体制や方針などにより違いがあるかもしれませんが、患者の置かれている状態(病期)に合わせてどちらの科でも対応する場合があります。

消化器外科との違い

消化器外科とはどう違うの?

消化器内科と消化器外科の違いは、開腹や腹腔鏡下で病変部を切除する手術をするかしないかです。

消化器内科では内視鏡的に切除する方法はあっても、開腹といった手術はしません

消化器外科において開腹や腹腔鏡下での手術が実施されます。

消化器内科看護師の仕事内容

開腹や腹腔鏡下手術などをおこなわない消化器内科で働く看護師の仕事内容を大きくまとめると、病棟内における治療の管理や検査・治療前後の看護、日常生活の支援などがあげられます。

日々の業務では、上記の仕事内容を遂行できるようにさらに細分化された仕事内容があり、ここでは下記について説明します。

一つずつ見ていきましょう。

1.入院の受け入れ

消化器内科病棟で働く場合、入院する患者と初めて出会うのが入院時の対応です。

これは消化器内科に限らずどこの科の病棟でも一緒でしょう。

入院してきた患者をまず療養の場となる病室まで案内します。

そのときにトイレやナースコールの使い方、あれば絶食の指示など必要最低限の情報を説明します。

患者が着替えなどをして一息ついたあと

  • バイタルサイン測定
  • 身長、体重測定
  • 採血
  • 病棟内の案内
    (患者食堂や自動販売機、避難経路、TVカードなど)
  • 本人や家族から基本情報の聴取

などを実施します。

患者後のやりとりが終了したら書類作成です。

  • 転倒・転落リスク
  • せん妄リスク
  • 褥瘡リスク
  • 栄養管理計画書
  • 看護診断、看護計画立案

書類だけでもいろいろな書類があります。

必要なもののみ患者へ説明をしてサインをもらいます。

最終的に、医師が作成する入院書雲量計画書とともにコピーを患者へ渡して終了です。

入院時はとにかくやることが多くて大変です。

とーふ

私がいた病棟は入院当日に治療が入っている場合も多かったです。
処置で鎮静剤を使用された後は何もできないので、治療開始前までに終わらせないといけなくてバタバタしてました。

2.検査説明

消化器内科の患者によくおこなわれる検査は、採血や内視鏡検査、腹部エコーなどが中心です。

消化器内科病棟で働く看護師にとって、検査説明は大変重要です。

消化器系の臓器が対象であるため、食事や排便に影響を受ける場合があります。

検査が受けられないと診断が遅れ、治療開始も遅れるとった事態にもなりかねません。

実際には患者の理解度に合わせてわかりやすく説明し、検査前の注意点を守れるような対策を講じる必要があります。

  • 簡単な言葉を使う
  • 最も重要な点(◯時から食べられないなど)を大きく表示する
  • 食べ物や薬の管理をおこなう

上記のような説明・対策をおこない、患者が予定検査を受けられるよう援助します。

3.点滴・薬物投与

消化器内科で入院をすると、絶食や点滴投与になる患者が多い傾向です。

消化器系の炎症や出血を治療するためには、絶食で消化器系の臓器の安静が必要です。

そこで、経口的に水分や栄養が摂れない分を点滴で補います。

絶食が長期間になると、CVを挿入して高カロリー輸液が投与されるようになります。

点滴のほかには

  • 内服薬の投与
  • 経口栄養剤を投与
  • 自己管理の手助け

といった内容も仕事です。

とーふ

粉末の経口栄養剤はフレーバーも入れて、何本もボトルをシャカシャカ振って作成しました。

消化器内科では点滴や薬物投与が、治療をおこなう上で必要な仕事内容です。

4.状態観察

消化器内科病棟に入院している患者の状態観察をおこないます。

状態観察には、バイタルサイン測定をはじめとする以下のような内容があります。

状態観察の内容
  • バイタルサイン測定
  • 食事量、経口栄養剤の摂取状況、
  • 経管栄養の量 排便状況
    (回数、性状、色、出血の有無など)
  • 消化器症状
    (腹痛、吐き気、嘔吐など)
  • ドレーンなどのチューブ類の観察
    (挿入部の状態、排液の量や色・性状、固定テープの状況や皮膚状態)
  • 点滴の状況
    (刺入部の状態、滴下状態など)

得られた情報はアセスメントに役立てるとともに、必要時は医師へ報告しましょう

そして、記録に必ず残しておくのを忘れずに!

5.日常生活の援助

消化器内科病棟に入院している患者の中には、元々日常生活の援助を必要としている人もいれば、疾患や治療のために援助が必要となる人もいます。

患者のできる内容を見極めながら、日常生活の援助をしていきましょう。

例)元来ADLが自立している50歳の男性が、出血性胃潰瘍で緊急入院し内視鏡的止血術を受けた。
  本日は止血術の翌日でベッド上安静である。

援助項目具体的内容
食事・洗面ではおしぼりを準備し、歯磨きがベッド上でできるようにセッティング
・シャワーや入浴ができないため清拭を準備
・背中などできない部分の介助
清潔・絶飲食で点滴投与中
・ほかの患者が食事をするときには、カーテンで仕切ったり個室のドアを閉めたりして配慮
更衣・点滴投与中のため、上半身の更衣は介助
排泄・ベッド上での排泄になる
・尿器をベッドサイドに準備
・排便にはベッド上用の便器を使用
移動・止血後フォローの内視鏡検査には、車いすで移送

元々ADLが自立している患者でも、治療上さまざまな制限が出てADLが低下します。

消化器内科病棟で働く看護師は、疾患による症状や治療の過程によってADLに支障をきたした患者が少しでも安楽に過ごせ、必要な治療が円滑に遂行されるように日常生活から援助していく必要があります。

6.退院への援助

入院した患者は必ず退院します。

退院後も支障なく生活し健康な状態を維持できるように、入院初期から退院に向けての援助が必要です。

消化器内科に入院した患者は、食生活やADLの低下、排便コントロールなど、退院に関して何らかの不安を持っています。

担当する看護師だけでは対応できないものは、他の看護師と共同でおこなったり専門職に依頼したりして、看護師および多職種でチームとなって関わる必要があります。

退院への援助
  • 内服薬の管理方法や排便コントロール方法などを一緒に考える
  • 経管栄養の主義を習得するために本院や家族に指導する、実践を見守る
  • 食事の管理が不安な患者や家族には栄養指導を受けてもらう
  • 筋力の低下を防ぐため、理学療法士によるリハビリをおこなう
  • 自宅に介護用品や設備の準備など、福祉面にはメディカルソーシャルワーカーに介入してもらう

上記のようなさまざまな援助があります。

看護師は患者の一番身近にいる存在です。

日常会話や患者の行動などから、どのような援助を必要としているのか導き出せる場合もあります。

入院初期から計画的に援助をおこない、患者や家族が退院への不安を少しでも払拭した状態に持っていけるようにしましょう。

消化器内科看護師のやりがい5選

消化器内科が対象とする臓器は幅広く、その検査や疾患、治療は多岐に渡ります。

このように大変そうな消化器内科で働く看護師にはどのようなやりがいがあるのでしょうか?

ここでは、消化器内科看護師の5つのやりがいについて解説します。

多くの知識が必要でケアに対するスキルも必要ですが、その分やりがいを感じる場面が多いでしょう。

1.患者の回復

消化器内科の看護師としてやりがいを感じるのは、なんといっても患者の回復する姿です。

消化器内科病棟に入院する患者は、疾患による症状のほかに化学療法などの治療の副作用で、腹痛や嘔気、下痢などを起こし苦痛を感じている場合が多いでしょう。

患者が少しでも安らいで過ごせるような方法を、患者の反応を見ながら実施します。

患者と一緒に考えるとより一層よいケアとなり、早くに症状や体調による苦痛が軽減されるかもしれません。

患者が回復する姿には、消化器内科看護師としてとても喜びを感じます。

患者や家族から

ありがとう

あの時はあなたに助けられたわ

などの感謝の言葉をいただくと、消化器内科の看護師になって本当によかったとやりがいを感じます。

2.どの科でも役立つスキルの習得

消化器内科での看護師経験を通じて、幅広いスキルを習得できるのがやりがいの一つです。

消化器内科は栄養管理や終末期医療に関する知識が求められ、患者の全身状態を常に観察しながらケアをおこないます。

ですので、ほかの診療科でも応用できる下記のようなスキルが自然と身につきます。

身につくスキル
  • 栄養管理
  • ライン管理
    (輸液、ドレーン、経管栄養など)
  • 抗がん剤使用時の管理
  • 輸血の管理
  • 緩和ケア
  • 内視鏡前後の管理

などが挙げられます。

患者の状態や治療段階が多岐にわたるため、看護師はどのような状況にも対応できる柔軟な思考力と実践力が養われます。

そして消化器疾患のケアは全身に関わるため、これらの経験はほかの診療科でも非常に有用です。

消化器内科で働くと、どの科でも役立つスキルを磨けるという点で大きなやりがいを感じられます。

3.コミュニケーション力の向上

消化器内科で看護師として働くと、コミュニケーション力が大きく向上するのもやりがいの一つです。

消化器内科では、喫煙や飲酒が関連してくる消化管疾患や肝臓疾患を抱える患者に対して、生活習慣の改善を指導します。

この際、食事バランスや禁煙治療、運動方法、アルコール依存症といった知識が求められますが、単に知識を伝えるだけでは行動は変えられません。

看護師は

  • 患者一人ひとりに寄り添う
  • どうすれば患者が行動を変えられるのかを考える

といった行動で適切なコミュニケーションを図る必要があります。

特に、飲水や食事制限、禁酒・禁煙などを指導する際には、患者の生活習慣に合ったアドバイスが求められるでしょう。

また、退院後の生活指導も重要な役割です。

こうした指導を通して患者の行動変容を促すため、看護師自身の指導力やコミュニケーションスキルが自然と向上していくのです。

4.アセスメント力の向上

アセスメント

消化器内科看護師として働くと、アセスメント力を高められる点も大きなやりがいの一つです。

アセスメントとは、医療者からの客観的な情報と患者の主観的な情報を組み合わせて、看護上の問題を分析することを指します。

消化器内科では幅広い疾患を扱うため、常に全身状態や検査データ、症状に目を配り、次のケアを考える必要があります。

これにより、看護師としての分析力や判断力が自然と養われるのです。

患者の症状が出た際には、

  • 看護ケアで改善できるのか
  • 薬の投与が必要なのか
  • 医師への報告が必要な緊急性のある症状なのか

を見極める判断力が求められます。

日々のケアの中でほかの医療スタッフと連携しつつも、自分自身の判断や行動を振り返り、次に活かせばアセスメントスキルの向上が可能です。

こうした繰り返しが消化器内科看護師としての成長を促し、やりがいにつながります。

5.キャリアプランが拡大

消化器内科での経験は、看護師としてのキャリアを広げる大きなチャンスです。

消化器内科は広い領域をカバーしているため、経験は後々役立ちます。

どの科でも役立つスキルを身につけられ、アセスメント力やコミュニケーション力も向上します。

このように消化器内科は、他科にも応用できる広範な知識とスキルを得られるため

  • 消化器外科
  • 内視鏡室
  • 手術室
  • 循環器
  • 腎臓内科

など、さまざまなキャリアプランを描けるためやりがいにつながります。

消化器内科に向いている人5選

消化器内科では、症状や疾患理解から精神的サポートまで多岐にわたるスキルが求められます。

患者への適切な指導に必要なコミュニケーション力や、冷静に状況を分析できる能力を持つ看護師は、この分野に向いていると言えるでしょう。

とはいえ、元々の性格だけではなく働き出してから経験とともに培われるものもあります。

ここでは、消化器内科に向いている看護師の特徴を下記の順番に解説します。

順に見ていきましょう。

1.コミュニケーションが上手な看護師

長期入院となる患者も多い消化器内科では、コミュニケーションが上手に看護師が向いています。

日頃の関わりから患者の小さな変化を感じ取り、会話の中から重要な情報を引き出せます。

特に長期入院となる場合は、患者との信頼関係が重要です。

コミュニケーションが得意な看護師は、患者からの信頼を得やすく、信頼関係が深まりやすいです。

患者が抱える課題や症状の変化に気づく機会が増えます。

たとえ自分が担当していない患者であっても、

今日は調子はいかがですか?

昨夜はぐっすり眠れましたか?

といった何気ない会話を重ねていくと、患者の本音や思わぬ悩みを引き出せる場合もあります。

こうしたコミュニケーション力を持つ看護師は、患者からの信頼を厚くし結果的に医療チーム全体の連携をスムーズにする重要な役割を果たすのです。

2.観察力がある看護師

看護において、観察力は非常に重要なスキルの一つです。

患者のわずかな変化に気付ける看護師は、消化器内科で特に活躍できるでしょう。

消化器系の症状は、表面的には大きな変化が見られない場合も多いため、患者の体調や行動、表情など、細かなサインを見逃さずに観察する力が求められます

観察力のある看護師は、患者様の平常時の状態をしっかり把握しておくと、異常が起こった際に素早く気づけます。

身体的な変化だけでなく、表情や行動の違いにも敏感に察すると、早期発見や適切なケアが可能です。

例えば、

いつもより無口なのでは…

なんか顔色が悪いと思う

といった小さな兆候を見逃さないとの意識が大切です。

患者の状態の把握は、病状の悪化を防ぐ重要な役割を果たします。

観察力の高い看護師は、チーム医療の中でも患者の状態を的確に伝え、医療の質を高める大きな力となるでしょう。

3.冷静な分析ができる看護師

冷静に状況を分析できる看護師は、消化器内科に向いています。

消化器疾患は症状が似ているケースが多く、細かな違いに気づくのは容易ではありません。

同じ腹痛でも、

  • 服用している薬
  • 基礎疾患の有無
  • 病態 

などによって、看護師が取るべき対応は大きく異なります。

症状や全身状態を把握しながら、

  • どのような疾患が原因なのか
  • 今後どのような事態が起こり得るのか

を想定した行動が必要です。

医師への報告がわずかに遅れるだけでも、症状が悪化したり病状が進行するリスクがあるため、迅速かつ正確な対応が求められます。

患者の状態を的確に分析し、適切な対応を考えられる看護師は、消化器内科に向いていると言えるでしょう。

4.細かな心遣いができる看護師

消化器内科では、がん患者様や慢性疾患を抱える患者と長期にわたって関わることが多く、細やかな心遣いができる看護師が向いています。

  • 病状
  • 治療方針
  • 精神的な状態

などは個々に異なるため、患者一人ひとりの気持ちに寄り添い、どのようなサポートが必要かを細かく見極める必要があります。

例えば、

治療に前向きな患者
励ましや具体的な治療に関する情報提供が求められる

緩和ケアを選択された患者
穏やかな時間を大切にするための支援や痛み・不安を和らげるケア

このような細やかな配慮ができる看護師は患者からの信頼も厚く、長期的なケアの中で安心して治療を受けてもらうための大きな力となります

消化器内科では、こうした心遣いができる看護師が必要とされるのです。

5.好奇心旺盛な看護師

常に新しいことを勉強したいという好奇心旺盛な看護師は、消化器内科に向いています。

消化器内科では対象となる臓器が幅広いため、さまざまな疾患に対応する知識が必要です。

疾患では

  • 胃潰瘍
  • 胆石症
  • 胃腸炎
  • 肝臓病

など多岐にわたります。

そして、20代から80代後半までと幅広い年齢層が特徴です。

消化器内科では、内視鏡や薬を用いた治療が多い傾向にあります。

看護師が医師の補助をおこなうときは、解剖や疾患、症状に対する深い理解が不可欠です。

また、消化器内科は検査が重視される分野であるため、内視鏡や腹部エコーなどの検査に関する知識も必要です。

このような知識があると、検査前後のケアや結果に基づく対応が迅速かつ的確にできるようになります。

学ぶ意欲が高く多様な症状や治療法に対して興味を持てる看護師は、消化器内科でその好奇心を活かして活躍できるでしょう。

勉強を常に出来る環境は、好奇心旺盛な看護師にとって志望理由のひとつになります。

消化器内科病棟5つの特徴

消化器内科病棟には、消化器疾患ならではの特徴があります。

これには対象とする臓器・疾患が多い、年齢が幅広いなどの理由が挙げられます。

看護師は迅速な対応力と専門的な知識、患者への深い理解が求められる環境です。

ここでは下記の特徴について解説します。

1.チューブの管理が多い

チューブ管理

消化器内科が対象とする疾患に関連して、チューブの管理をする場面が多いのが特徴です。

消化器内科は炎症や出血の治療を目的に絶食となる患者さんが多く、その間の栄養補給は主に点滴や経管栄養で行います。

長期間の絶食が必要な場合や病状的に栄養が取りづらい場合は、中心静脈カテーテル(CVカテーテル)を使用するケースも多いでしょう。

さらに動きによってチューブが絡まったり外れたりするリスクを伴い、特に認知機能が低下している患者はチューブを自己抜去するリスクが高いため、適切な管理が求められます。

チューブには投与と排液のふたつの役割があり、下記が主なものです。

<チューブの種類>

役割具体的内容
投与・点滴(末梢、中心静脈)    
・経管栄養
排液・胃管 
・イレウスチューブ 
・胆管・膵管・胆嚢ドレナージ

このようなチューブの留置状況や排液の性状・量などを、観察・管理して異常時には医師に報告する必要があります。

消化器内科の看護師にとって、チューブ管理は特徴的な仕事内容です。

2.亡くなる患者が多い

消化器内科には、多くのがん患者さんが入院しており、亡くなる患者も多い傾向です。

とーふ

消化器内科へ異動になったときは、新卒から働いた整形外科と違って亡くなる方が多いとすごく感じました。

がん治療ではすべての患者が治療の成果を得て退院できるわけではありません。

治療が功を奏さず、命を落としてしまう方も少なくないのです。

外来では患者と一定の距離を保つことができますが、病棟では日々のケアを通じて深く関わるため、患者の死と向き合うことが避けられません。

患者の死に直面する場面が多いと、時にモチベーションが低下し仕事に対するやりがいを失う場合もあります。

しかし次の患者のケアに切り替えて取り組むためには、精神的な強さが必要です。

3.短いサイクルで入退院

消化器内科病棟では、患者の入退院が短期間で繰り返されるケースがよくあります。

がんや腸閉塞、胃潰瘍といった消化器疾患の患者は、症状の悪化や治療の経過によって頻繁に入院が必要になる場合があるためです。

治療が一段落すると退院し、また再発や症状の進行に伴い再入院します。

短期間での入退院サイクルに対応するため、看護師は効率的なアセスメント力が必要とされます

初診時には迅速に患者の状態を把握し治療に必要な処置を行う一方で、退院に向けたプランを早い段階から立てておくことが重要です。

また再入院が想定される場合には、退院後の生活指導を丁寧に行い再発防止に努めることも重要です。

さらに、患者が再び入院してきたときに以前の経過や対応内容を素早く振り返って、より適切なケアを提供すると患者の安心感が増します。

短いサイクルでの入退院は負担

このような思いが出るかもしれません。

しかしチーム内で情報を共有しスムーズな受け入れと退院支援ができる体制を整えれば、患者にとって安心して過ごせる環境を提供できるでしょう。

4.緊急入院が多い

緊急入院2

消化器内科には腹痛や吐血・下血で緊急入院する患者が多いです。

緊急入院ではデータ収集から書類の準備、家族対応、さらには患者の処置など、看護師の業務が多岐にわたるため、これらに時間と労力を費やさねばなりません。

また、痛みがある患者には痛みを軽減する援助や処置が必要です。

さらに吐血や下血がある場合には病衣やシーツ、床が汚れるため、感染リスクを考慮しながら清掃や片付けが必要です。

このように消化器内科病棟での勤務は、職場によっては緊急入院により業務負担が重く、長時間労働になる可能性もあるでしょう。

5.内視鏡室との絡みが多い

消化器内科病棟には内視鏡検査・治療を受ける患者が多く、必然的に内視鏡室との絡みが多くなります。

消化器内科における内視鏡検査は、食道〜直腸までの消化管と胆膵系があり、下記のような種類があります。

内視鏡の種類
  • 上部消化管内視鏡検査
  • 下部消化管内視鏡検査
  • 小腸内視鏡検査
  • 逆行性内視鏡的膵胆管造影検査
    (ERCP)
  • 超音波内視鏡検査
    (上下部消化管、胆膵)

これらに伴う治療も加えると大変幅広くなり、対象患者も増えます。

内視鏡室への搬出入が多いため、病棟内が手薄になる場面も…

内視鏡室との連携を密におこなって搬入時間やお迎えのタイミングを調整し、病棟内も困らないようにお互い協力する姿勢が必要です。

とーふ

効率的に業務が進むように、リーダー同士で連絡し合ってました。

内視鏡室との絡みが多いからこそできる対応です。

消化器内科で役立つ資格5選

消化器内科の看護師として働いていると、将来的なキャリアアップや日々の看護に役立つ資格を考える方も多いでしょう。

看護師資格や知識だけでも十分ですが、さらに専門性を高めたいなら、下記の資格を取得すると活躍の幅が広がります。

これらの資格を取得すれば、より専門的な知識とスキルを身につけられ、消化器内科でのキャリアが充実したものとなるでしょう。

1.専門看護師

消化器内科でのキャリアを考える際、専門看護師の資格は非常に有益です。

この資格を取得するためには、消化器疾患だけではなく各専門分野の深い知識とスキルを身につける必要があり、患者に対してより質の高い看護を提供できます。

専門看護師は病気の理解だけでなく、患者の心理的サポートや家族への教育もおこないます。

消化器内科では慢性疾患やがん患者が多く、専門看護師の存在は特に重要です。

消化器内科で役立つ専門看護師の分野は下記です。

  • がん看護
  • 老人看護
  • 家族看護 など

専門看護師は患者や家族に寄り添い、

  • 治療に関する情報提供
  • 相談に応じる

といった対応で安心感を与えられます。

また医療チーム内での役割も大きく、専門的な視点からの意見やアドバイスを通じて治療の質を向上させる立場にもなるためやりがいを感じられます。

このように、専門看護師の資格は消化器内科でのキャリアを豊かにするための強力なツールとなるでしょう。

2.認定看護師

専門看護師と並び、認定看護師の資格も消化器内科で非常に有効です。

消化器疾患に関する知識+認定分野の知識と実践力を身につけた人材となります。

認定看護師は患者への高品質なケアを提供するだけでなく、医療チーム内での重要な役割を担います。

また、患者への教育や心理的サポートも重要な業務の一部です。

消化器内科において役立つ認定分野は下記です。

  • 緩和ケア
  • がん薬物療法

認定看護師の資格を持つと、転職市場でも競争力が高まります。

認定分野と消化器疾患に特化した知識を持っていれば、専門的な看護を提供できるため職場での信頼も向上します。

今後のキャリアアップを目指す看護師にとって、認定看護師の資格取得は大きなステップとなるでしょう。

3.消化器内視鏡技師

消化器内科で働く看護師にとって、消化器内視鏡技師の資格は非常に役立ちます。

消化器内視鏡技師の仕事は内視鏡の管理や検査・治療の介助もさることながら、患者が安心して内視鏡検査・治療を受けられるようにサポートもおこないます。

患者にとって内視鏡検査・治療は 苦痛 恐怖 不安 といったマイナスイメージを持っている場合が多いです。

消化器内科病棟に消化器内視鏡技師がいれば、より専門的な知識で患者のサポートを提供でき、患者の安心感を高められるでしょう。

とーふ

私は消化器内視鏡技師の資格を持って病棟に配属されました。
そのときは内視鏡の違いや検査中の状況、検査後の注意点などの勉強会をしましたよ。

ただ、消化器内視鏡技師の受験資格には、内視鏡に2年以上従事して検査の介助に年間で100件以上担当しているなどの条件があります。

このため病棟のみで働いていても取得できる資格ではありません。

4.栄養サポートチーム専門療法士

消化器内科では栄養サポートチーム(NST)専門療法士の資格が役に立ちます。

消化器疾患の中でも特にがん患者は、炎症や化学療法の副作用などによって栄養不良になりやすい傾向です。

栄養管理が不十分だと免疫力が低下し、創傷治癒の遅れや感染症リスクの高まりが懸念されます。

NSTは

  • 医師
  • 歯科医師
  • 栄養士
  • 薬剤師
  • 看護師

などが所属し、各分野の専門家が協力して栄養管理をおこなうチームです。

その中で、NST専門療法士は下記の内容を実施します。

  • 栄養状態の把握
  • 管理計画の立案
  • 嚥下の評価
  • 個人に合わせた食事内容の検討
  • 適切な栄養管理方法の提案

NST専門療法士を資格を取ると、消化器内科の患者を栄養面から専門的にサポートできるようになります。

5.日本口腔ケア認定資格

絶食が必要なケースの多い消化器内科では、日本口腔ケア認定資格が役立ちます。

絶食になると口腔内の問題が発生しやすい状況です。

さらに化学療法、放射線療法により免疫力が低下すると、口腔カンジダや口腔粘膜炎といった症状が見られる場合もあり、口腔ケアが一層重要になります。

日本口腔ケア認定資格の保持者になると患者の口腔状態をチェックし、適切なケア方法を指導しつつ病棟看護師と協力して口腔状態の改善に尽力できるでしょう。

口腔内のトラブルの中でも、歯周病はさまざまな疾患との関連が取り沙汰されています。

施設によっては、手術や化学療法前に口腔状態を改善させて治療に入るところもあります。

とーふ

私が勤務している施設では、治療前には必ず歯科受診をして口腔内のチェックをし、必要時治療をする流れになっています。

このように大事な口腔ケアです。

消化器内科における治療をスムーズに進めるためにも、日本口腔ケア認定資格は非常に役立つでしょう。

消化器内科病棟への転職におすすめの転職サイト3選

看護師が病院へ転職しようと検索するとき、病棟や手術室、外来などの求人は区分されていますが、消化器内科病棟に特化した求人は少ないのが現状です。

そのため消化器内科病棟への配属を希望する場合、面接において交渉する必要があります。

そんなことできないよ

その通り。

ほとんどの看護師は面接すら慣れておらず、交渉なんてなおさらできない場合が多いでしょう。

とーふ

だからこそ、交渉を代行してくれる看護師専用の転職サイトを活用するのがおすすめです!

転職サイトは希望条件に合った求人を探し、面接前後の交渉もサポートしてくれるため、希望の診療科への転職がスムーズに進みます。

ここでは、交渉力が高く消化器内科病棟の求人に強い転職サイトを3つご紹介します。

消化器内科病棟への転職におすすめ転職サイト3選

1.看護roo!転職|消化器内科への交渉もおまかせ!

看護roo!転職 R6

(引用元:看護roo!転職公式サイト)

消化器内科への転職には、看護roo!転職の使用をおすすめします。

看護roo!転職は看護師転職支援10年以上の定番サイトです。

求職者を担当するキャリアアドバイザーが求人側も担当し、両者のニーズも把握するシステムであるためミスマッチのない転職ができます。

消化器内科を希望

と、キャリアアドバイザーへ伝えておくと、求職者にピッタリの求人を紹介してもらえます。

もちろん求人側への交渉もおまかせで大丈夫です。

さらに求人の内部情報なども教えてもらえるため、具体的なイメージを持って検討できるのが魅力です。

看護roo!転職の基本情報
運営会社株式会社クイック
公開求人数約87,000件
対応地域全国
拠点東京 大阪 名古屋
(2024年10月現在)

2.マイナビ看護師|転職のプロがサポート!

マイナビ看護師

(引用元:マイナビ看護師公式サイト)

エリア専任のキャリアアドバイザーがいるので、地域ごとの医療機関の情報を提供して、求職者の希望に沿った求人を紹介してもらえます。

マイナビ看護師の基本情報
運営会社株式会社マイナビ
公開求人数約69,000件
対応地域全国
拠点17ヶ所
銀座 新宿 大阪 札幌 名古屋 仙台 横浜 さいたま 群馬 静岡 新潟 京都 神戸 岡山 広島 福岡 鹿児島
(2024年10月現在)

3.レバウェル看護(旧:看護のお仕事)|消化器求人の選択肢が広がる!

新レバウェル看護

(引用元:レバウェル看護公式サイト)

求人数が多く、中でも条件のよい非公開求人が豊富です。

消化器内科の条件を提示しても、よい求人を紹介してもらえる可能性が高くなります。

レバウェル看護の基本情報
運営会社レバレジーズメディカルケア株式会社
公開求人数約157,000件
対応地域全国
拠点10ヶ所
東京本社 渋谷道玄坂 大阪堂島 名古屋 さいたま 広島 立川 船橋 横浜 札幌 (福岡未使用 )
(2024年10月現在)

まとめ

消化器内科は、多岐にわたる臓器が治療対象となるため、看護師に必要な知識やスキルも幅広く求められます

時にはその責任の重さから、やりがいを見失う場合もあるかもしれませんが、そこで得た知識や経験は今後の看護キャリアに大いに役立つものです。

特にアセスメント力やコミュニケーション能力を磨くと、患者さんにとって心強い存在となるでしょう。

また消化器内科で働けば、内視鏡検査や化学療法、放射線治療など、専門的な知識を身につける機会も得られます。

さらに、消化器内科病棟では医師の説明を直接聞く機会が多く、自然と消化器系の解剖や疾患に詳しくなります。

消化器内科での勤務はキャリアの幅を広げる貴重な経験です。

消化器内科に興味のある看護師の方は、ぜひ一度挑戦してみてください。

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この記事を書いた人

内視鏡技師歴18年。
高校を卒業後不動産会社に就職したが、事務仕事が合わず3ヶ月で退職。輸入雑貨店で販売を経験したのち看護学校へ入学。卒業後は整形外科・小児科病棟へ配置。出産を機に内視鏡/血管造影/放射線治療に携わる。以後、NICU、消化器内科、耳鼻科、歯科口腔外科、透析も混合病棟や併科担当で短期間ずつ経験。現在は内視鏡専門となり、SNS運用やライター業もこなしている。
今をどうにかしたい看護師へ「自分に合った環境で幸せな働き方を見つける」お手伝いがしたいと思い、当サイト「Fine」を開設。

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